消防法では、防火対象物点検報告が義務付けられている建物のうち、3年間継続して防火対象物点検報告の結果に不備が無く、消防法令を遵守しているものについて、管理権原者が申請を行い、申請に基づく消防機関の検査の結果、防火管理の状況が優良と認められた場合には、防火対象物点検報告についての特例認定を受けることができます。 特例認定を受ければ、防火対象物点検報告の義務が3年間免除されます。 【消防法第8条の2の3】 防災管理関係 防災管理制度とは? 東日本大震災では、東北地方を中心として全国各地で甚大な被害が発生しました。また、大阪市においても、南海トラフ地震や上町断層帯地震による被害の発生が危惧されているところです。 このような大規模地震等の災害による被害を軽減するためには、予想される被害を事前に想定し、その被害に対応した措置を講じるとともに、防災組織の体制を整え、防災訓練を定期的に行うことが重要です。 このように、大規模地震等の災害が発生した場合の被害を最小限にとどめるため、必要な対策を立て、実践することを『防災管理』といいます。 消防法では、高層・大規模建物の管理権原者(建物の所有者・管理者・占有者などのうち、管理についての権原を有する者)に対し、防災管理の中核を担う防災管理者を選任し、防災管理に係る消防計画を作成させ、その計画に基づく避難の訓練の実施などの防災管理上必要な業務を行わせることを義務付けています。 なお、防災管理者は、防火管理者と同じ人でないといけません。 【消防法第36条第1項で準用する消防法第8条】 防災管理者が必要となる建物とは? 防火管理者が必要となる建物のうち、共同住宅・航空機等の格納庫・倉庫の用途以外の建物で、次のいずれかに該当するものなど ◆ 地上11階以上で、延べ面積が1万平方メートル以上のもの ◆ 地上5~10階で、延べ面積が2万平方メートル以上のもの ◆ 地上4階以下で、延べ面積が5万平方メートル以上のもの 防災管理者の資格とは? 防災管理者になるための資格を取得する代表的な方法が、防災管理講習の受講です。 防災管理講習には、「防災管理新規講習」・「防火・防災管理新規講習」・「防災管理再講習」があります。 ◆ 防災管理新規講習 すでに甲種防火管理者の資格をお持ちの方を対象とした講習です。 ※ 乙種防火管理者の資格では、防災管理新規講習を受講できません。 ◆ 防火・防災管理新規講習 甲種防火管理者の資格をお持ちでない方を対象とした、「甲種防火管理新規講習」と「防災管理新規講習」を併せて行う講習です。 ◆ 防災管理再講習 防災管理講習の修了者のうち、防災管理者に選任されている方には、5年に1回の防災管理再講習の受講が義務付けられています。 ※大阪市では、防災管理単独の再講習は実施せず、防火防災管理再講習を実施しています。 『防火・防災管理講習会のご案内』はこちら ※ 防災管理講習の修了者以外でも、防災管理者として必要な学識経験を有すると認められる場合があります。 防災管理者の業務とは?
【具体例】 〇私は、中華レストランを経営し、従業員が8名、客席が25席あります。防火管理者は必要でしょうか? ➡中華レストランは飲食店であり、3項ロに該当し特定防火対象物です。さらに、従業員と席数を足した数が33人ですので、30人以上に該当し、防火管理者を選任し消防署へ届出を提出しなければなりません。 〇私は、一戸建てでリサイクルショップを経営し、従業員は3名、売り場の面積は40㎡、休憩室は9㎡の建物です。防火管理者は必要でしょうか? ➡リサイクルショップは物品販売店舗であり、4項に該当し特定防火対象物になります。従業員が3名、売り場面積の40を4で割った数の10、休憩室の9を3で割った数の3をそれぞれ足し、3+10+3=16。合計で16名になります。30名未満ですので、防火管理者の選任は必要ありません。 〇私の会社は、物品の流通の会社であり、事務所には35名の社員がいます。防火管理者を選任しなければなりませんか? ➡通常の事務所は15項に該当し、非特定防火対象物に該当します。さらに、従業員が35名ということで、50名未満ですので、防火管理者の選任は必要ありません。
防火管理者に選任されるためには、消防法に基づいた所定の講習を修了する必要があります。 この講習は全国共通で、どこでも受講することができます。 <東京消防庁の講習日程> インターネットで講習日程や空きを確認し、申込書を所轄消防署へ提出する方法が一般的です。 日程は2日間で、1日目は座学、2日目は避難用具の訓練や、消火訓練があります。 真夏の消火訓練は汗だくです。消防士さんの苦労が1ミリだけですが分かります。 発展系?の「自衛消防業務講習」では、実際に消防士さんが着ている防火服を着て訓練します。汗だくです。 特に、 企業の異動の時期と重なる4月と10月は、申し込みが殺到してすぐ埋まります ので 早めのチェックが必要です。 講習を受講できたら、修了証が交付されます。 長くなりましたので、今回はここまで・・・ 次回は、「消防計画はどうやって作るの?」というテーマで書きたいと思います。