折れた竜骨 上巻 ロンドンから出帆し、北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナは、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた…。いま最も注目を集める俊英が渾身の力で放ち絶賛を浴びた、魔術と剣と謎解きの巨編! 第64回日本推理作家協会賞受賞作。 「BOOK」データベースより 下巻 自然の要塞であったはずの島で、偉大なるソロンの領主は暗殺騎士の魔術に斃れた。"走狗"候補の八人の容疑者、沈められた封印の鐘、塔上の牢から忽然と消えた不死の青年―そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、推理の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?
と少しでも思う方は絶対読んじゃダメです。 ノーマルな(? )トリックと、叙述トリックの 合わせ技 による意外性! うん、何と言うか、 叙述トリック物とは思っていなかった ので、無茶苦茶叙述トリックが 仕掛けられていたということが分かった瞬間「やられた感」が半端なかった ですよ。 叙述トリックだけでなく、犯人が仕掛けた入れ替わりトリック、脱出トリック(まぁ、こっちも半分叙述トリック的でしたが)も、残念ながら解決編で明かされるまで私は解けず。 そ、そういう事だったのか~! と、明かされる真相に納得していき、目の前の霧が晴れていくかのようなこの快感! これだから、よく出来たミステリーは面白い。 クライマックス、犯人を目の前にしてのマリアの 「あんた誰?」 は、間違いなく名セリフだと思います。 思わず吹き出しそうになりました。 そしてそこから語られる犯人の意外な正体には、完全に「してやられた」感じです。 はい、 私、叙述トリックに騙されるのが好き なんです。 折原一さん(叙述トリックの名手として知られる作家さん)とか、好きですもんねぇ。 (騙されなかった場合は、逆にその作品に対する評価が無茶苦茶低かったりします。世間がどんなに評価していたとしても) ミステリーらしいミステリーを読みたい、という今回の趣向に完全に沿った形で満足できました。 うん、途中で挫折せず、読み切って良かった。 面白かったです。
※カバー写真は初刊ハードカバー時のものです。品切れのものが含まれます。 第31回 令和2年(2020年)度 選考委員:辻真先・東川篤哉・麻耶雄嵩 ― 受賞者なし ― 第30回 令和2年(2020年)度 選考委員:加納朋子・辻真先・東川篤哉 千田理緒 『五色の殺人者』 佳作:弥生小夜子 『風よ僕らの前髪を』 第25回 平成27年(2015年)度 選考委員:北村薫・近藤史恵・辻真先 ― 受賞者なし ―